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質問 日本の戸籍では、旧字体の苗字と新字体の苗字、どちらが多いのでしょうか。

回答 旧字体とは戦前に使われていた漢字のことで、新字体とは戦後に使われだした旧字体の略字のことです。

《旧字体》
澤・廣・濱・櫻・國・齋・齊など

《新字体》
沢・広・浜・桜・国・斎・斉など


戦前は、「広島県」は「廣島縣」、「横浜市」は「横濱市」、「石川県金沢市」は「石川縣金澤市」と表記したわけです。

ところが、文部省は漢字の簡略化と使用漢字数の制限をまえまえから望んでいて、ついに戦後の昭和21年11月に「当用漢字表」を、そして昭和24年4月に「当用漢字字体表」を告示して、一挙に漢字の簡略化と使用数の制限を実現させたのでした。

それ以降、地名には「広島県」「横浜市」「金沢市」という新字体が使われることになったのです。年配の方の中には今でも伝統を大切にして「廣島」「横濱」「金澤」と書く人もいます。

しかし、さすがにこれまであった戸籍の苗字漢字まで強制的に変えるということはしませんでした。人の苗字は、戦前の旧字体のまま残せたのです。

戦後から現在までに、役所に新字体に変更する旨の手続きを取っていない限り、戸籍や住民票の苗字は旧字体のままなのです。そういう手続きがあることを知らない人も多く、また、知っていても変えない人のほうが多いので、現在でも戸籍上は圧倒的に旧字体の苗字が多いというのが実情です。

(行政側は、無駄な旧字体漢字を減らしていきいずれは無くすことを想定しているようです。そのため、いったん旧字体の苗字漢字を役所で新字体に変更すると、もう二度と元の旧字体苗字に戻ることはできません。資料


質問 え?でも、テレビや新聞を読む限り、「広瀬さん」ばかりで「廣瀬さん」なんて見たことないですよ。

回答 それには2つの理由があります。

ひとつは、戸籍で旧字体になっていても、日常生活や非公式の場では新字体を使う人が多いということです。電話帳もまったく当てにはなりません。住民票を見て初めて、ある人の戸籍上の苗字漢字が旧字体だとわかるケースが少なくありません。

もうひとつは、マスコミの記事や教育文献では(教科書など)、旧字体の人名だと分かっていてもあえて新字体で記載するというルールがあります。マスコミも、戸籍・住民票での記載に関係なく新字体を優先させて使う傾向があります。


《参考リンク》

・童話作家の宮沢賢治も、「宮澤」です。参考リンク

・福沢諭吉も正しくは福澤諭吉です。参考リンク

実は、戦前の戸籍には「〜沢」という苗字はなかったのです。戦前の戸籍苗字は、明治時代の漢字字体のままでしたから、すべて「〜澤」と旧字体になっています。変更届を提出しない限り、今でも「〜澤」のままです。


旧字体・新字体について、「真相その2」でさらに話を深めていくことにしましょう。